4500%という驚異的な業務効率化を実現!タンク検査に3D レーザスキャナーを活用

事例

英語版執筆者: Wagner Manurung

アジア有数のアグリビジネスグループ Wilmar International Limited の一員である「PT Wilmar Indonesia」は、高さ45 メートルの小麦粉タンクを検査する最良の方法と、巨大な小麦粉の備蓄をどう計算すれば良いかを模索していました。そこでライカジオシステムズの3D レーザースキャナー Leica RTC360 とデータ解析ソフトウェア Leica Cyclone 3DR を導入したところ、従来1 タンクの検査に数日掛かっていた業務がたった一日で15 タンクを検査するという驚異的な効率性の実現に成功しました。

PT Wilmar Indonesia の課題

同社は米や小麦粉を含む幅広い農産物の栽培、加工、商品化から製造までの農産物ビジネスのバリューチェーン全体を網羅する統合アグリビジネスモデルを展開し、中国、インドを含む広範な流通ネットワークの管理、インドネシアでの5つの工場の操業、およびその他50ヵ国で事業を展開しています。
大規模な農産物ビジネスでは、大量の農産物の貯蔵には貯蔵タンクやサイロが使用され、これらの設備の管理には国際的な安全基準が適用されます。
同社の設備チームはすべての貯蔵タンクを定期的に検査し、安全基準を満たしていることを示す測定値を報告する必要がありますが、これらの巨大な設備の点検には大きな労力が掛かり課題となっていました。


品質に妥協せずに検査業務のスピードを向上


PT Wilmar Indonesia は、貯蔵タンク検査を より速く工数をかけずに行う方法を模索していました。しかし新しい検査方法がデータの精度やチームの安全を損なってしまうことは許容されません。より正確に、より安全に、より効率的な方法が必要不可欠です。

そこで設備チームは貯蔵タンクをデジタルスキャンする方法を選び、ライカジオシステムズの3D レーザースキャナー「Leica RTC360」(以下、RTC360)とデータ解析用ソフトウェア「Leica Cyclone 3DR」(以下、Cyclone 3DR)を導入しました。RTC360 は1 秒あたり最大200 万点の計測速度を備え、HDR 画像取得システムにより色情報を持った三次元点群データを2 分以内に取得することができます。

RTC360 の導入は検査業務に変革をもたらし、従来1 タンクあたり3~4 日かかっていたところ、たった1日で15 タンクの点検を実施できるようになり、4500%という驚異的な業務効率化が実現されました。 


国際基準を満たすデータ品質



国際基準(API 650/653)を満たすためには、貯蔵タンクの直径、真円度、垂直度、内容物の沈下など、複数のデータポイントを正確に収集する必要があるため、従来の検査方法では非常に時間が掛かっていました。ところがRTC360 で計測した場合、必要な貯蔵タンクのデータを数分で収集し、取得した点群データから必要項目だけを抽出するため、作業時間の短縮にも貢献。

PT Wilmar Indonesia の広報担当者は「この分析プロセスは国際規格に準拠した3D レーザースキャナーのキャリブレーションと Cyclone 3DR のタンク検査機能によって従来よりも遥かに効率的に行われています」と言います。 


使いやすいソフトウェアがトレーニング時間を短縮

3D レーザースキャナーの導入目的は工数削減であるため、新しい技術を習得するための時間が必要になることが懸念されていましたが、RTC360の使用方法に関するトレーニングにはほとんど時間がかかりませんでした。軽量で持ち運びが容易なためチームの作業効率を向上させ、検査に携わる人数も少なくなり、データ解析に工数を割けるようになりました。

担当者は「RTC360 を使用すると現場での測定には1-2 名の少数で対応でき、他のメンバーはその間オフィスでデータ処理に時間を割くことが可能となりました。目的としていた工数削減が叶いました。』と言います。


ダウンタイムの削減と安全性の向上



同社では、タンクの検査業務の煩雑さに伴う課題が他にもありました。例えば、以前はコンベックス等で物理的に計測を行う場合、稼働中の機械を一旦停止する必要があり、工場内の混乱を招く可能性がありました。ところが3D レーザースキャナーなら、離れた場所からでも計測が可能なため、 機械の電源を切る必要がなく農作物の汚染のリスクもありません。

また3D レーザースキャナーを使用することで、オペレーターは安全な作業環境で作業をすることが可能になりました。計測チームは貯蔵タンクの検査だけでなく、備蓄計算にも RTC360 の使用を開始。設備から離れた安全な場所から計測できることは、チームに大きなメリットをもたらしました。「以前は備蓄計算にトータルステーションを使用していましたが。RTC360 を使用している今では備蓄の体積を計測するために、必ずしも小麦粉の備蓄に登る必要がないことがとても嬉しく思います。」と担当者は語ります。

3D レーザースキャナーの導入は検査業務の効率化のみでなく、設備状況を上層部に報告することも容易にしました。担当者は「経営陣は現場に行かずとも3D データを用いて現場の詳細な状況を確認することが可能になりました。」と述べています。

RTC360 と Cyclone 3DR はPT WilmarIndonesia に当初の導入目的以上の大きな成果をもたらし、業務の効率化に成功しました。

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